「矢の根」は初めて見る演目でしたが、
何の予習もせず、イヤホンガイドも借りずに観てみました。
若々しくて、元気な五郎でした。
だからでしょうか、五郎の赤黒の配色がかわいく感じました。
赤は激情の色、黒は暗黒の鈍性の色なので、
考えてみると、その組み合わせというのは、意味深いものです。
矢をお上手にぐるぐる回すのを観て、
以前、国立で見た「西遊記」での右近さんの
棒クルクル回しの技を思い出しました。
右近さんのお芝居は安心して拝見できますが、
ストン、お尻ぺったん のところで、
「腰打ったりしてないだろうか」と、心配してしまいました。
もちろん、心配ご無用ですね。
私も鍛えれば、ああいうことが出来るのかと、
励みにもなる右近さんです。
五郎が寝るところで、
後見さんが枕になって、ずっと頭と背中を支えていました。
じっと静かに支え続ける様子が印象深かったです。
文字通り、二重の意味で舞台を支えていた、後見さん。
私もあの謙虚さを見習いたいと思いました。
そして、太い縄のような襷 → 「仁王襷」というらしい
を結ぶ場面があったのですが、
なんせ太い縄なので力が要るから時間がかかり、
その間、三味線が聞かせてくれました。
双眼鏡で見ていたのでわかったのですが、
おそらく、襷を締め終わるときに三味線も終わるように
するためにでしょうか、何度か、三味線の方が、
五郎たちをチラ見していました。
タイミングが合うかなと、ちょっとドキドキしながら拝見していました。
三味線のソロ(というのかしら)好きです。
お芝居の中で、着物を着替えたり、
帯を結んだり → これを専門用語で何とか言うらしい
するのを見るの、大好きです。
ささっと着物を着て、ささっと帯を結べるのって
とってもカッコイイです。
花道から馬が出てきて、
馬を連れていたのは猿弥さん。
歌舞伎の馬、好きなんですが、
馬が出てくると、三津五郎さんの「馬盗人」を思い出します。
猿弥さんの鬘の月代 → 「つきだい」ではなく、「さかやき」と読むんだそうです
が、銀色でした。銀色のメタリックな月代というのは初めて見たような。
馬が背中に大根をたくさん積んでいます。
お大根、よくできてました。
歌舞伎の小道具に食べ物が出てくると、必ず双眼鏡でよく見てしまいます。
五郎が馬に乗ったとき、
一階席から、ジワがきてました。 → ザワじゃなくて、ジワ
「おーーっ」、「わぁーー」「あらーー」 みたいな。
で、五郎は馬に乗って花道に行き、
七三で右手で大根を掲げ、
悠々と引っ込み。
ストーリーはよくわかりませんでしたが(笑)
面白かったです。
後で、ストーリー読まなければ。
歌舞伎十八番の内 「矢の根」
曽我五郎 | 市川 右 近 |
大薩摩文太夫 | 中村 亀 鶴 |
馬士畑右衛門 | 市川 猿 弥 |
曽我十郎 | 市川 笑 也 |