このポスターすっごくカッコよくて大好きです。
撮影場所のリシケシというのは、
インドの大聖地なんですって。
ガンジス河の上流で、
このあたりの水はきれいなんだそうですよ。
さて、千穐楽にならないうちに、
舞台写真の入ったマハーバーラタ戦記の筋書を
買ってまいりました。
それで、私が覚えている範囲で、
歌舞伎版とマハーバーラタの原典とで、
違う部分や省略された部分、キャラなどを思い出して
忘れないうちに書きとめておくことにしました。
以下、原典ではこんなんでした。
■久理修那(くりしゅな)→クリシュナ
菊五郎さんのお役。歌舞伎では「仙人実は那羅延天」という設定になっていたけれども、マハーバーラタでは仙人としてではなく人間の姿をとって生まれた神として描かれている。でも、つい人々はクリシュナが本当は神様だということを忘れてしまう。マハーバーラタ原典の主人公はクリシュナとアルジュナ。とはいえ、ワンピースみたいにマハーバーラタは登場人物にそれぞれストーリーがあるんですよね。クリシュナは原典では青い肌の色をしているので歌舞伎の白い顔のクリシュナはあらっという感じ。
■百合守良(ゆりしゅら)→ユディシュティラ
新・彦三郎さんのお役。五兄弟の長男ユディシュティラは別名ダルマラージャと呼ばれるダルマの権化で、いつも正義にかなった行いをする立派な人。サイコロ賭博をしてしまったことだけが唯一の人生の汚点。歌舞伎ではお酒を飲んでいましたけれども五兄弟は皆お酒は飲まないと思います。
■阿龍樹雷(あるじゅら)→アルジュナ
松也さんのお役。次男のアルジュナはクリシュナと共にマハーバーラタの主人公で、信心深い純粋な人。いつもクリシュナといっしょにいました。アルジュナが勝利したのはクリシュナと共にいたからで、つまり神様と共にいるものが最後には勝つというお話。クリシュナにバガヴァッドギーターを説かれる場面がマハーバーラタのクライマックス。
■迦楼奈(かるな)→カルナ
菊之助さんの当たり役!ですよね。マハーバーラタの原典では主人公ではなくて登場人物の一人。バラモンにものを請われると何でも差し出す、優しき犠牲の人。歌舞伎版でカルナが生まれつき身に着けていたのは金の耳輪だけでしたが、金の甲冑も生まれたときから身に着けていた。というより、身体に貼りついていたので身体からはがすときはナイフで取り除かなければならないんです。痛い~! 武術にも長け善人でしたが、クリシュナとではなく悪い兄弟といっしょにいたせいで身を滅ぼしたというのが原典でのカルナ。朱に交われば赤くなるということでしょうか。悪人といることでカルナは悪人の運命を得るはめになってしまったのですね。
■鶴妖朶(づるようだ)→ドゥルヨーダナ(あるいはドゥリヨーダナ)
七之助さんの当たり役!ですよね。歌舞伎版では女で、七之助さんがとっても素敵でしたが、原典では男で、もっと貪欲で、嫉妬深い。クリシュナを求めず権力と富を求めたために身を滅ぼしました。
■弗機美(どるはたび)→ドラウパディー
児太郎さんのお役。サイコロ賭博でいくら着物を脱がせてもどんどん着物が増えて裸にならなかったのは、原典では、ドラウパディーがクリシュナに助けを求めて祈ったからクリシュナが奇跡を起こした。ドラウパディーは歌舞伎版ではアルジュナだけの妻でしたが、実はアルジュナがドラウパディーを手に入れた時に、「良いものをもらったよ」といったようなことを母のクンティーに報告したら、「じゃあ皆で仲良く分けなさい」と言われたので、素直なアルジュナは母の言うことを聞いてドラウパディーを五兄弟共通の妻にした。もちろんクンティーは、「良いもの」というのはドラウパディーのことだなんて知らずに分けなさいと言ってしまったんです。
■神様たち
神様がいっぱい出てきましたが、インド神話では、梵天(ブラフマー)、那羅延天神(ヴィシュヌ)、シヴァ神が三大神で、それ以外の神々は格下。でも、なんと、実は、すべての神様は一つの神様の変形なのです。
■きっかけ
人間の始める戦争が原因で世界が滅んでしまうから、慈愛に満ちた子によって世を救うか、武力を持つ子によって世を救うかさせよう、と神々が策を練った・・・というのは原典にはなかったと記憶しているのですが。なので、おそらく、この歌舞伎の原作の『マハーバーラタ戦記』という本(?)のオリジナルストーリーでしょうか?
ということで、インドの人には、
これはマハーバーラタそのものじゃなくて、
マハーバーラタを題材にした歌舞伎だよ、
というふうにとらえてもらえば、
インド大使みたいに皆、感動すると思うな。
それにしてもあの長い長いお話を
よくまとめたなあ。凄いですよね。
「マハーバーラタ戦記」まだ御覧になっていない方、
ぜひ観てくださいね! 明日千穐楽ですよ~。
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